『 還る絵 
“生きるとは「なしくずしの死」(セリーヌ、阿部薫)に他ならない。洗濯板で服をゴシゴシ洗ったり、薪の火で米を炊き、風呂を沸かすのは、日々、少しずつ命を削る行為であり、だからこそ「生活」ではなく、「暮し」という言葉の方が似つかわしい。けれども、家電による生活利便性の追求は、衣食住の根底にある、身を削り生を開き、少しずつ死に近づくという前提を省いてしまう”
椹木野衣「たたかえ暮しの"手"帖」,『花森安治---美しい「暮し」の創始者 』,文藝別冊/KAWADE夢ムック, 2011.12.15発行, 109P.

人間は、誰もが日々一歩ずつ死に近づいているという事実、あるいは誰もが次の瞬間の死の可能性を常に隣に同伴させている事実を前に、そこから抗う=生きる術を模索し続けた結果、ついにこの衣食住が苦労なく保障された「生活」を獲得するに至りました。
しかし一方で「暮らし」、すなわち自らの手を動かし、汗をかき、自然に直に触れ、命を削る=暮れゆくことを通じて、我々の日々を包む衣服や食事に特別な美が付与されることも、現代社会において決して忘れられた観点ではありません。
むしろ近代以降、「生活」が死の危険を遠ざけた中でこそ、「暮らし」を携えた美は、それ以前とは異なる価値を持ってきたとも言えます。
今日まで多くの先人たちが「暮らし」の力を源泉として、思考し、その少なからぬ人生を捧げ、様々な美の形を提示してきました。今回は「絵」という領域から、その先人のトライアルを継承し、自らを研ぎ澄ませる現代作家を紹介します。
日々を見つめ、実直に手を動かし、描写すること。やり直しのない画材を前に、対話すること。彼らの表現から、人間の本来的な姿に根を張る創造美と、その先端を探ります。
(企画:綱田康平 / gallery TOWED)
●期間
2020年11月03日(火)〜11月23日(月) 
13:00-20:00 
金・土・日・祝日のみオープン


●参加作家

・阿部 龍一 / Ryuichi Abe
1987年東京都生まれ
2010年東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻卒業
個展
2020年
「tea time」O’keeffe(日立)
「石を拾いに」SUNNY BOY BOOKS(東京)
2019年
「旅のはじめ」SUNNY BOY BOOKS(東京)
「おみやげ話」箱庭(台湾)
2018年
「青の地図」switch box あけ/たて(神奈川)
「おみやげ話」COCORO STORE(鳥取)
「旅と風景」SUNNY BOY BOOKS(東京)
活動報告:abepuici.tumblr.com
・市村 柚芽 / Yume Ichimura
 
1998年東京都生まれ
日付のない記憶や、通りすぎる町や家々の景色を、思い出しながら描いたり、静物画を描いたりしています。
描くことが好きです。
個展
2019年
「泥蛙」高円寺pocke
・マメイケダ / Mameikeda
1992年島根生まれ、大阪在住。
高卒後、惣菜調理の仕事に勤めるが2013年秋頃から絵を描き始め退職して大阪に引っ越す。
2016年HBファイルコンペ仲條正義賞を受賞。
書籍の装画などのイラストレーションや展覧会での発表などを中心に活動。
作品集に『味がある。』(誠光社)などがある。
個展
2016年
『味のり』iTohen(大阪)
2017年
『味しめる』HB GALLERY(表参道)    
2018年
『へきめん』READAN DEAT(広島)
2019年
『正味』galleryそれから(京都)
2020年
『味の具合』O'keeffe(日立)
・宮入 圭太 / Keita Miyairi
1974年生まれ
東京都豊島区出身
東京民藝協会
染色家 46歳
・村松 佑樹 / Yuki Muramatsu
山梨に生まれる。
山や自然、道具、器などをモチーフにペインティング/ドローイング/立体による作品を制作している。
第204回 ザ・チョイス 入選(審査員:たむら しげる氏)、
第19回 1_WALL 審査員奨励賞(大日本タイポ組合選)など。
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