私たちは、自然の生み出した圧倒的な風景や歴史的建造物を目の前に、ある種の神秘性を見出すことがある。
どうしても抗えないような大きな力に対して畏怖の念すら抱き、言葉を失い、ただ立ち尽くしてしまうことさえある。 「神秘性」と呼ばれるこの力の正体は一体何なのだろうか。
人知を超えた力が実際に存在するか否かを論じてもその答えは導き出せないように思える。重要なのは、我々がそこに「つい神秘を見てしまう」何らかの要因が確かに存在しているということだ。
本展覧会は、鑑賞を通して美術作品に宿る「神秘性」について考察するための一つの試みでもある。