石中希望 個展    インジャードマンフレンド展
私の作品には海で拾ったガラクタ(海洋プラスチック)が使われている。いわゆるゴミと呼ばれるものであるが、そんなガラクタのことを私はゴミとは呼ばない。それは私自身が自分の作品がゴミでできていると言われることに対して、違和感を覚えるようになったからだ。元々は海に捨てられ砂浜に漂着したゴミであることは事実だ。しかし、ゴミという言葉が価値のないものを指すのであれば私にとってのガラクタはゴミではない。大多数にとっては使い道のないゴミであっても、私にとっては必要不可欠な価値あるガラクタなのだ。
子供の頃からありとあらゆる紙を集めて取っておく癖がある。始まりは母の勧めだった。「かみ」と書かれたその引き出しに、お気に入りの紙たちを片っ端から詰め込んでいった。今思えばそれが今のビーチコーミングの原体験なのかもしれない。例えそれが無料で手に入るようなフリーペーパーでも、ほんのり匂いのついたチューイングガムの包み紙でも、自分が「好き」と決めたものが集まっていくのがうれしかった。その瞬間、価値のなかった場所に自分だけの価値が発生する。一方、祖母からは「そんなんとっといてどうするんね(そんなもの取っておいてどうするの)」とよく言われていた。きっと祖母にはただのゴミに見えていたのだろう。そんな宝物の詰まった引き出しを気が触れたようにひっくり返しては、それらを一つずつ確認してまた引き出しに戻すというのをたびたび繰り返していた。子供の頃からひとりごっこ遊びでほとんどの時間を過ごしてきた私にとって、意味のないように思えるその行為も一つの遊びで、そのためのガラクタたちも大切な遊び相手だった。
きっと集めていた紙たちが祖母や誰にとっても価値のあるものだったら何度も引き出しをひっくり返すようなことはしなかっただろう。「好き」という自分がつけた価値を確認することが今も昔も遊びになり得た。誰にとっても価値がないことは、まだ誰にも価値を決められていない未知の部分があるということだ。最初から価値あるものはすでにクリアされたゲームと同じであって、私が遊べる余地はそこにはないのだ。

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●期間
2026年3月20日(金・祝)〜4月12日(日) 
13:00-19:00 
※会期中、土・日・祝日のみオープン
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●会場
gallery TOWED 2F
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●作家
・石中 希望 / Nozomu Ishinaka
ワクワクすることが大好きでこの道を選びました。現在、拾い集めたガラクタを使って作品制作をしています、石中希望と申します。もし作ることを辞めてしまったら10年後20年後の自分が絶対に後悔すると思ってこの道を選び続けてきました。作ることを死ぬまでやっていきたい、そう思っています。
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